中秋の名月
20分ほどでチェサの儀式が終わると、先祖に捧げたご馳走を列席者たちでいただく。それが終わると、いよいよ墓参りに出掛ける。韓国のお墓は風水の関係で山の中腹や遠方にある場合が多く、出掛けるのも一苦労なのである。
ようやくお墓にたどりついたら、ここでもお酒の杯を捧げる儀式があり、子孫がチョル(目上の人に対する挨拶のことで、ひざまずいて頭を下げる動作を繰り返す)を行なう。韓国の家庭には仏壇がないので、年に1回のお墓参りが本当に貴重なのである。このときに、先祖にしっかりと「孝」を尽くさなければならない。
こうしてお墓参りが終わったら、家に戻って家族が団欒の時間を過ごす。男の場合は、たいていは酔いつぶれることになるのだが……。
なお、秋夕の日は日本でいえば「中秋の名月」だ。
月がとても美しい日だけに、日本でも月見酒を楽しんでいる人がとても多いのではないだろうか。
文・写真=康 熙奉(カン ヒボン)