日本では、亡くなった人の法要は、三回忌を過ぎると七回忌、十三回忌となり、何年もの空きが出る。しかし、韓国ではたとえ何十年が経とうとも、その人の命日に合わせて祭祀(チェサ)がかならず毎年行なわれる。
祭祀が終わると宴会が始まる
昔は命日当日の午前零時から祭祀を行なわれた。
しかし、現代社会では真夜中に親族が集まるのは難しいので、命日前日の夜に行なわれるのが普通だ。
祭祀の日、午前中から忙しいのが親族の女性たちだ。早くから集まって、祭壇に備えるご馳走を作るのである。
男は楽だ。仕事を終えてから夜に集まり、祭祀が始まるまで酒を飲んで待っていればいいのだ。
午前中から料理作りに忙しい女性とは労力にかなりの違いがある。
祭祀は30分もかからずに終わる。
亡き人が地上に戻ってきたと想定して、たくさんのご馳走と酒を召し上がっていただく儀式を順番に行なっていく。
そうやって祭祀が終わると、今度は先祖に差し上げた料理を列席者みんなで堪能するのである。
この場が賑やかになる。男たちは大いに酒を飲みながら、政治・経済問題からスポーツの話までとりとめなくしゃべり続ける。
特に、「誰が金を儲けた」「誰が借金で逃げた」といった話は定番で、祭祀の酒の場は知人の消息で盛り上がる。(ページ2に続く)