植村誠(探訪ライター)と康熙奉(カン・ヒボン)が韓国をテーマに語り合っています。今回は、韓国の人たちが状況に応じてすぐにコロッと変わることが話題になりました。
何でも面白がる精神
康「ソウルで地下鉄に乗っていると車内に物売りさんがよく現れますよね」
植村「結構来ますね」
康「その物売りさんが車中ですごく大きな声で商品の説明をする。売っているのは傘とか乾電池とか扇子とか。そのとき、難しい顔して新聞を読んでいるキャリアウーマンみたいな人が本当に嫌そうな顔するんです。それを見ていて、『この人は絶対に買うわけないよな』と予想するのですが、物売りさんが前に来るとあっさり買ったりするわけですよ。本当にコロッと変わる(笑)。買いそうもないような人が、喜んで買うというギャップが面白いんです」
植村「物売りさんの出現は大好きですね。地下鉄の中で『ここに取り出しましたのは……』とオッサンが汚い箱から商品を出すわけです。『こんなの誰が買うんだろう』と観察していると、それが結構売れるんですよ。韓国に行くたびに、地下鉄に物売りさんが現れると、『いいなあ』と喜んでいます。日本のネットの記事では、韓国の物売りさんをバカにする意見もありますが、そこを非常に面白がれる人というのは、おそらく韓国だけではなく、アジアの旅を大いに楽しめると思います」
康「南大門(ナンデムン)市場の屋台で食事をするときに注意深く見ていると、人によって勘定が全然違うんですよ。定価があってないようなもの。お店の人も出せる人と出せない人を瞬時に見分けて、出せそうな人は高めに設定して、そうでない人にはそれなりの料金にする」
植村「それが韓国的な臨機応変ですね」(ページ2に続く)