対談/植村誠・康熙奉「韓国の人々はすぐに豹変する」

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情が深い人たち

植村「韓国南岸の青山島(チョンサンド/ドラマ『春のワルツ』のロケ地として知られる)に行ったときに、たまたま行き合った女性が小学校の先生で、僕が『旅行のライターをやっています』と自己紹介をして、『お仕事は何をされているんですか?』と聞いたら、『ソンセンニム』と答えました。『自分でソンセン(先生)にニム(様)を付けるのか』とビックリしました。日本人には理解しがたい言葉の習慣で、面白かったですね。それから、麗水(ヨス)での話なのですが……」
康「本当に韓国のあちこちに行っていますね」
植村「ええ。麗水の露店にふらっと入ったんですよ。他に客がいませんでした。あのとき、おばさんに何を注文したか覚えてないですが、注文したら『エッ』みたいな感じだったので、『もしかして、このおばさんは日本人が嫌いなのかな』と思いました。それでも、『そんなこと知ったことか』と座りました。料理は結構おいしかったんですよ。実際、おいしそうに食べているのが相手にも伝わったみたいで、『どこから来たの?』みたいな話になって僕が『これ、おいしいね』と言ったら、相手もすっかりご機嫌になりましたね。表情があまりに変わったのでビックリしました」




康「韓国人は対応の変化が著しいですからね」
植村「浦項(ポハン)でも同じことがありました。お店に入ったときにおばさんは僕が一発で日本人とわかったみたいで、『何でこんなところに日本人が入ってくるの?』みたいな態度だったんですよ。それで、僕がウルルンドの地図を見てたら、『あれ、ウルルンドに行くのかい』と言ってきたんです。それから、おばさんはすっかりご機嫌になっちゃって、リンゴをむきながらサービス満点。ちょっとしたきっかけで、韓国の人って、コロッと変わりますね」
康「女性の場合は、最初から愛想良くしている人はいないですよ。なぜかというと、女性は他人に対してむやみに愛想を良くしちゃいけないみたいな儒教的伝統がありますから。逆に、女性が最初から愛想良かったら『何かあるな』と勘繰ったほうがいいと思います。ただ、もともとはみんな情が深い人たちだから、対応してしゃべっているうちに打ち解けてきて、いろいろと世話を焼いてくれると思いますが……」
植村「地方に行けば特に、情が深い人たちが多いと感じますね」

(写真左)植村 誠(うえむらまこと/探訪ライター)
気になる土地を訪ね歩くのをモットーに、国内外の鉄道の旅をはじめとする旅行記事を中心に取材・執筆。韓国はこれまで50数回の訪問を重ね、韓国のKORAIL(鉄道)の全路線を制覇しつつ、気ままな町散策などを続けている。韓国のドラマや映画、音楽にも親しみ、オフタイムにも韓国漬けの日々を過ごす。著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)ほか。韓国散策の模様は、無駄話ブログ「つれなのふりや」(http://nekoike.moe-nifty.com/turenanohuriya/)にも掲載中。

(写真右)康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化・社会や、日韓交流の歴史を描いた著作が多い。韓国の兵役も長く取材している。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』『朝鮮王朝と現代韓国の悪女列伝』など。

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