膨大な記録
各一族には「宗親会」と呼ばれる長老会のような組織があり、そこが族譜の編集を受け持つ。
日本では、数百年にわたる家系図がある家のほうがずっと少ないだろう。一般的な家庭なら、5代以上も前の先祖の名前を知らない場合が多いはずだ。
しかし、韓国では自分が一族の30代目であろうと40代目であろうと、先祖をどこまでもさかのぼって初代までたどりつくことができる。
すべては、何百年にわたって族譜を延々と編集し続けてきたおかげである。そのために、どれだけの労力が費やされてきたことであろうか。
気の遠くなるような話だ。その労力を他のことに使えば、どれほど国土の発展に結びついたことか。
しかし、経済の停滞をいかに招こうとも、当時の人々は先祖から族譜を受け継ぎ、さらに子孫に継承していった。
私も族譜を読む度に、この膨大な記録を作り続けてきた人々の継続性に、ただただ驚かされる。
(文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕)