真実の愛を見つけ出した男
キム・ナムギルのファンミーティングを取材したことがあるが、ステージに立つ彼の姿を見ていて一番感じたのは、「演技のない自然体」ということだった。
ファンと触れ合うときでも、彼の言動に「演技」を感じなかった。もっと率直に言うと、「自分をありのままにさらけ出している」という雰囲気だった。それでも、魅力をまったく失わないのは、持って生まれた天賦の才能があるからだ。
それをさらに実感できたのが、今回の『ワン・デイ』だった。
映画は、ガンスとミソの不思議な体験が続いていく。その中でミソの悲しい出来事が明らかになっていくのだが、それは同時に、ガンス自身が亡き妻との思い出をよみがえらせる「心の旅」でもあった。
失われたものは帰ってこない。しかし、失われていく過程の真実に気づくことはできる……それが『ワン・デイ』の根源的なテーマではないかと思った。
不思議な展開の中で、キム・ナムギルは実に自然な形で「真実の愛を見つけ出した男」を演じていた。
そういう意味でも、『ワン・デイ』という映画はキム・ナムギルのものであり、その演技を堪能した観客のものであった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)