度が過ぎた錯覚
光海君は中国大陸の諸民族との外交に手腕を発揮し、庶民の減税になる政治改革も行なっている。王としての統治能力が高かったのだが、いくら側近が気を回して行なったとはいえ、自分の兄と弟を葬ったことで強い恨みを買った。
1623年、宣祖の孫であった綾陽君(ヌンヤングン)がクーデターを起こした。彼の弟は反逆罪で処刑されており、綾陽君は光海君に強い復讐心を持っていた。
クーデターは用意周到で、不意をつかれた光海君は王宮から逃走せざるをえなかった。しかし、後に捕らえれて流罪となった。
綾陽君は16代王・仁祖(インジョ)として即位。仁穆王后の軟禁を解いた。
さらに、金介屎の悪事が白日のもとにさらされ、彼女は斬首された。
結局、金介屎は権力を裏で操る快感の虜になっていた。それは崔順実も同様だった。度が過ぎた錯覚によって、自ら底なしに転落することになってしまった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)