無血で1人でやってのけた
朴槿恵は、「崔順実と縁を切れ」という忠告を受ける度に怒りをあらわにした。彼女にとって崔順実は、生きていく上でそばにいてくれなくては困る無二の存在だった。
そこまで朴槿恵を精神的に取り込んだ崔順実の恐ろしさ。
呪術を使ったのか、巧言を弄したのか、それとも、世間知らずの女性を罠にはめる策略にたけていたのか。
人間観察力に優れた人たちの忠告を聞かなかったことが、「国会から弾劾を受けた大統領」という汚名につながった。自業自得としか言いようがない。
それにしても崔順実という女性の凄さに舌を巻く。1960年には多くの犠牲の末に大統領を退陣させることができたが、今度は無血で1人でやってのけた。
とてつもない怪物だ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)