男くさい役をやりたい!
2008年3月17日、映画『宿命』の特別試写会が行なわれた。このときにソン・スンホンは、次のように語った。
「無難な形で復帰するより、前とは違う姿をぜひ見せたかったのです」
それが、ドラマよりも映画を優先させた理由だという。
周囲の人たちは、「今までのイメージを生かせるドラマのほうが復帰作にふさわしい」という意見だったが、ソン・スンホンはあえて違う選択をした。それは、「復帰作では、男らしく骨太のイメージを新しく出したかった」からである。
これも、軍隊生活を経て、ソン・スンホンが逞しさを身につけた証だ。彼はそれまでのような洗練された役よりも、男くさい役がやりたくて仕方がなかったのだ。それは、見た目よりも中身を重視するという俳優魂の表れでもあった。
復帰作の映画で手応えをつかんだあと、ソン・スンホンはようやくテレビドラマの主演を決めた。それが、『エデンの東』だった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)