料金メーターはどこ?
珍島に来たからには、有名な「海割れ」の海岸に行かなければならない。
タクシーに乗った。
不思議なことに、運転席に料金メータが見当たらない。
<まさか白タクに乗ったわけではないよな>
そう思いながら、もう一度、バスを下りたあとの自分の行動を振り返ってみた。間違いなく、タクシー乗り場を確認したうえで、そこからタクシーに乗っている。なのに、なぜ料金メーターがないのか。
<着いたときの請求料金次第ではひと悶着あるかも>
私は一応、心の準備をしていた。
15分くらいで目当ての海岸に着いた。海沿いの道路には数軒の屋台が出ていて、ポツポツと観光客の姿も見えていた。
タクシーを下りるとき1万5000ウォン(約1500円)を請求され、とっさに高いと思った。
「メーターがないじゃないですか」
そう言うと、50代の運転手さんは表情も変えずに、「いや、ちゃんとあるよ」と足元を指差した。
身を乗り出して見ると、運転手さんの足元に「1万5400ウォン」と表示された料金メーターが鎮座していた。
まさか、と思う位置に料金メーターがあって意表をつかれた。しかも、運転手さんは400ウォン負けてくれていた。意外といい運転手さんだったのかもしれない。(ページ4に続く)