格別の女優魂
『星から来たあなた』を見ていて驚いたのは、チョン・ジヒョンがスッピンでヒステリックに荒れる場面をあけっぴろげに演じたこと。何も隠すものがないほどすべてをさらけ出す姿には、心地よい快感があった。
彼女ほどの名声と実績があれば、普通は演技にも「こだわり」が出てしまい、それがときには視聴者を白けさせるものなのだが、チョン・ジヒョンには変なプライドはなかった。あったのは、「そこまでやるのか!」という女優魂だった。
そんなチョン・ジヒョンが、映画『暗殺』では別人のように変わった。母を殺された憎しみを胸に秘め、与えられた任務に最善を尽くそうとする。実に清楚で、感情というものをどこかに置き忘れてきたような女性だった。
ところが、実際に任務の場面になると、重い銃を持ちながら、屋根伝いに機敏に走りまわる。
「アン・オギュンは男まさり。こんな女性が実際にいたかもしれない」
観客にそう思わせる説得力が、チョン・ジヒョンの演技からにじみ出ていた。(ページ3に続く)