一筋縄でいかない「怪優」
1年半が過ぎた。
ようやくチェ・ミンスは2009年9月になって山を降り、家族と一緒に住むようになった。
帰ってきたとなれば、当然ながら出演依頼が殺到する。
彼のもとには様々な企画が持ち込まれたが、チェ・ミンスも地味な単発のドラマで復帰する道を選んだ。
韓国では、反省を示すときに山ごもりをすることはよくあるが、チェ・ミンスほど長期にわたる例はそれほどない。
この一例をもってしても、彼がいかに「変わっている」かがわかる。
以後のチェ・ミンスにも、トラブルが付きまとった。しかし、そうしたトラブルを、むしろ俳優業の経験に生かしているところがある。というのは、問題を起こすたびに演技に凄味が出ているのだ。
そういう意味でも、本当に一筋縄でいかない「怪優」である。今回の『テバク』でも、そんなチェ・ミンスの真骨頂がよく出ていた。
次はどんな作品に出演するのか。
あるいは、どんなトラブルに巻き込まれるのか。
チェ・ミンスは、ハラハラさせるような緊張感がある俳優である。
文=康 熙奉(カン ヒボン)