狙いはインターネット特需
天然資源をもたない韓国が、貧困から抜け出し世界11位の経済規模を達成することができたのは、ひとえに商業貿易によって獲得した外貨で国内経済を活性化させてきたからである。
ただし、北朝鮮とは未だ休戦状態にすぎないという不安定さが大きなネックとなり、北朝鮮との緊張が増す度に海外からの投資が冷え込むという構造的な弱点をもっていた。
それを克服するためには、日本と中国にはさまれながらも技術立国としての存在感を示す必要があった。
特に韓国が注目したのがインターネット特需であった。1980年代以降のアメリカがパソコンの発達によって膨大な雇用を確保できたという先例にならい、韓国も情報先端化に国の盛衰を託すようになった。
そうした情報先端化を加速させたのが、皮肉なことに1997年に起こった経済危機だった。国が破産状態に追い込まれたあと、韓国はさまざまな再生プランに積極的に関わったが、特にIT関連産業の育成を目玉にすえた。
構造改革によって増加する一方の失業者を救済するには新しい需要を掘り起こすことが急務であり、そのためにもインターネットを普及させなければならない事情があった。
1999年3月に金大中(キム・デジュン)政権は「サイバーコリア21(第2次情報化促進基本計画)を発表。単なる夢や希望を語るのではなく、具体的な数値を示して国土の隅々まで情報インフラの整備に最善を尽くすことを明らかにした。
これが功を奏した。韓国は確実にインターネット先進国に突き進んだ。(ページ3に続く)