名優たちの存在感
演技がうまい俳優の必須条件に「勘の良さ」がある。
どんなにセリフを頭にしみこませても、どんなに練習を重ねても、勘の悪い俳優は視聴者の肥えた目を納得させることはできない。
逆に、勘のいい俳優は、その持ち味を存分に発揮して視聴者をうならせる。チャン・グンソクの場合も、天性の勘の良さを持っている。特に、表情が極端に変わる場合(喜怒哀楽が激しく変化するとき)の切り替えが見事である。
子役時代からの経験も生きていると思うが、それ以上に大きいのは、生まれ持った表現力だ。
演じたテギルは苦難の中で生き方が縦横に変わっていったが、その変化をチャン・グンソクは的確に演じ分けていた。
その演技力は大いに評価されていい。
ただし、今回の『テバク』を見ていると、チャン・グンソクが目立たないこともしばしばだった。
主役なのに、なぜ目立たなかったのか。
それはやはり、チェ・ミンスやチョン・グァンリョルといった名優たちの存在感が際立っていたからだ。(ページ4に続く)