第7回 日本で外国人として生きていくこと
日本社会に壁を感じた
日本へ移り住んでから10年近くになります。当時、取引先のお客さんだった日本人から「会社を立ち上げようと思いますが、日本で一緒に仕事してみませんか」と誘いがありました。
そのとき、外国で仕事しながら暮らしたいという夢が叶ったと喜びました。
さらに、日本では語学研修で1年半生活した経験もあるし、東京は1人暮らしをするのに住みやすい都市だし、仕事の内容や流れもある程度わかっていたし、迷う理由がありませんでした。
しかし、いくら日本語が話せても、実際に日本の社会に入ってみたら戸惑うことが多かったです。
第一は、言葉の問題でした。
辞書に載っていない固有名詞が常に会話の邪魔をしました。文部科学省が出題する日本語能力試験1級テストにも出ない単語が続々と出てくるのです。
初仕事で上司から「赤帽が届いたら佐川で荷物を出してください」と言われたときは、
「えっ、アカボウってなんですか? サガワは?」という状態。赤帽は軽トラックのことで、佐川は宅配便の会社だよと上司は親切に教えてくれましたが、私の中では日本社会という文化に壁を感じるようになりました。(ページ2に続く)