気持ちは焦るばかり
やはり、実際に成りきってみないとわからないものだ。ほとんどの人が「ペ・ヨンジュンが両班に扮しても似合うわけがない」と思っていたのに、カメラテストの評判は上々だった。
気を良くしたペ・ヨンジュンだったが、それでも頭の痛みには苦しめられるばかりだった。撮影中にいつもこんな思いをしなければいけないのか、と思うと気が重かったが、鏡を見ては自分を奮い立たせた。
カメラテストの成功によって、イ・ジェヨン監督はペ・ヨンジュンの主演を決断した。かくして、2002年の秋から、ペ・ヨンジュンは映画初主演の『スキャンダル』の撮影準備に入った。
現代的な青年をずっと演じてきたペ・ヨンジュン。一転して、時空を越えて数百年前の風流人に扮しなければならない。
撮影に入る前に、やるべきことは数多くあった。
まずは減量。朝鮮王朝時代のエリート層が筋肉質な体型をしていたのでは、サマにならない。ペ・ヨンジュンはトレーニングをやめ、食事の量も減らした。
そのうえで、韓服を着こなして古い時代の所作を身につけるための訓練を始めた。歩き方一つとっても、両班は威厳を保ちながらゆったりと歩かなければならない。さらに、詩作、絵画、武芸に精通していなければならない。覚えることが非常に多かったが、時間が足りずに気持ちは焦るばかりだった。
中でも、一番苦心したのは言葉だった。朝鮮王朝時代の両班の言葉は、まるで外国語のようにも思えた。
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