首都を守る機械化歩兵師団
私も議政府に行ったことがあるが、「軍人の街」と言っていいほど、市内には外出してきた軍人の姿が多かった。この議政府を防衛して北朝鮮がソウルに攻め込めないようにするのが、ユンホがいる第26師団の重要な任務なのである。
実際、北朝鮮の戦車軍団に対抗するために、第26師団は「機械化歩兵師団」として強力な戦車や装甲車を揃えている。他にも、憲兵隊、新兵訓練隊、偵察隊、医務隊を備えており、任務が重要なだけに訓練がとても厳しいことでもよく知られている。
もちろん、師団の中には軍楽隊もある。
本来の軍楽隊の役割というのは、「進撃ラッパ」に象徴されるように、勇ましい音楽で兵士の士気を高めることにある。しかし、平時においては、師団内での行事や対外イベントの際に音楽で盛り上げることが任務となっている。
軍楽隊は志願者が多いので、選抜試験によって隊員が選ばれる。その選抜試験には「実技」と「面接」があり、楽器別に合格者が決定されるが、楽器演奏の他に「実用音楽」というジャンルがあって「大衆歌謡」も含まれている。ユンホの場合は、このジャンルで合格したのではないだろうか。
今回、ユンホが特級戦士に選ばれて世間が称賛したのは、軍楽隊の所属でありながら、射撃と体力で超一流の能力を示したからだ。
一般兵士であれば、射撃と体力トレーニングは必須だが、軍楽隊員は音楽の練習が欠かせない。そのように自らの専門分野に集中しながらも、射撃と体力で抜きんでているのだからユンホはすごい。
おそらく、早朝や休日などに相当な体力強化をはかっていたのではないだろうか。他の兵士が休んでいるときにランニングや筋力トレーニングに励んでいるユンホの姿が目に浮かんでくるようだ。(ページ4に続く)