最善を尽くす姿は美しい
陸軍公式サイトのトップページでは、ユンホとシン・イノ師団長が並んだ写真を掲載しながら、次のような記事を紹介している。
「射撃、体力、精神力、戦闘技量のすべての課目で90点以上を達成すればこそ与えられる特級戦士の名誉を受けたチョン・ユンホ一等兵。軍人として最善を尽くす姿は誠に美しいです」
この紹介文の中の「最善を尽くす姿は誠に美しいです」という表現が、今回のユンホの快挙を端的に物語っている。
陸軍公式サイトのトップページでも大きく紹介されて、広く世に知れ渡ったユンホの特級戦士選抜。第26師団という花形の師団に所属していることも、ユンホの陸軍における存在感を高めている面がある。
そこで、ユンホがいつもいる第26師団について説明しておこう。
そもそも師団というのは、軍人が所属する組織の一番大きな集合体である。最小単位が10人前後の分隊であるのに対して、最大単位の師団は1万人前後の兵力となる。これだけの数の兵士がいるので、師団は「軍人の大きな町」にもたとえられる。
現在、韓国の陸軍には49万人ほどの兵士がいるが、師団の数は約40個にのぼっている。それぞれの師団に明確な役割があり、ユンホが所属する第26師団は首都ソウルの北方を防衛することが任務となっている。
その第26師団はソウルの北の郊外の楊州(ヤンジュ)にあり、さらに北にある議政府(ウィジョンブ)を守る態勢を整えている。
1950年6月に起こった朝鮮戦争のとき、軍事境界線から南進してきた北朝鮮軍の侵攻を防ぐことができず、ソウルは開戦からわずか3日で陥落している。
この屈辱は韓国軍のトラウマになっており、軍事境界線とソウルの中間にある議政府は、首都防衛の砦として軍事的に強化されてきた。(ページ3に続く)