好奇心のかたまり
母が急にいなくなった我が子を見つけたとき、屋根裏部屋は散らかった部品で足の踏み場もないほどだった。
分解方法をひと通り学ぶと、今度は組み立ててみたくなる。好奇心はとどまるところを知らない。図面に目を凝らし、接着剤を使いまくって、飛行機、戦車、自動車などを1日中でも組み立てて遊んだ。
普通の男の子なら、外で砂遊びやサッカーなどで遊ぶ。けれど、ペ・ヨンジュンはむしろ誰にも干渉されずに1人で思う存分に遊ぶことが好きだった。
そうはいっても、やはり男の子である。やんちゃな面もあった。
6歳のときには、1歳下の妹の鼻の穴に豆を入れてしまって大騒ぎを起こしたことがある。豆は穴の奥深くに入ってしまったようで、まったく出てこない。
結局、妹の鼻がパンパンに膨れ上がってしまい、病院に駆けつける騒動となった。ムチによる仕置きを受けたのも仕方がなかった。
小さい頃からテレビを見るのが大好きだった。1人でいることが好きだったペ・ヨンジュンにとって、テレビは何でも教えてくれる先生にも似ていた。
ドラマを見ていて不思議だったのは、どんな大人も「掛けで」というとお金を払わずに店を出ていけることだった。
まるで魔法の言葉を見つけたような興奮を覚えたペ・ヨンジュンは、実際に駄菓子屋で好きなお菓子を「掛けで」というたった一言で持ち出してしまった。しかし、駄菓子屋のおじさんから事情を聞いた母は烈火のごとくおこり、ペ・ヨンジュンは手のひらが真っ赤になるほど叩かれた。
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