『テバク』の第9話を見ていて驚いた。領議政(ヨンイジョン/朝鮮王朝時代の総理大臣)の金昌集(キム・チャンジプ)の役で、新たにイ・ジェヨンがドラマに加わってきたからだ。脇役ばかりだが、このイ・ジェヨンはストーリーに緊張感をもたらす恐るべき名優である。
心地よい緊張感
イ・ジェヨンが画面に登場するだけで、「何か大きな動きが起こるはず」とワクワクする。事実、国王の後継者争いに重要な役割を果たす金昌集が出てきてから、『テバク』はますます面白くなってきた。
それにしても、『テバク』はベテランの男優陣の充実度が凄い。
圧倒的な存在感を見せているのがチェ・ミンスだ。彼は19代王・粛宗(スクチョン)に扮しているが、声の抑揚といい表情の奥深さといい、『テバク』をピリリと引き締める役割を十分に果たしている。
公式サイトの視聴者掲示板にはチェ・ミンスを称賛する意見があふれているが、それも当然のことだろう。
これほどの俳優を重要な粛宗の役に起用できたことが、『テバク』にとって本当に幸運だった。
そして、物語全体を支配している李麟佐(イ・インジャ)に扮しているのがチョン・グァンリョルである。
人間のペーソスを演じさせたら当代随一の俳優だが、今回は物語を自在に操る謎の怪人物になりきって、絶妙の間合いを持った演技を見せている。(ページ2に続く)