『冬のソナタ』の大ヒットによって2004年頃から日本で起こった韓流ブームが、日韓関係において果たした役割は大きい。ただし、この韓流ブームには下地があった。それは2002年にFIFAワールドカップ日韓大会が開かれたことだ。あのとき、日本からも大勢のファンが韓国の地方に出掛けて生でワールドカップを観戦した。
『冬のソナタ』の成功
ワールドカップのとき、韓国に行った日本人は試合観戦だけでなく、韓国の文化や暮らしを体験する機会を得た。
それまで、日韓両国が共同で世界的なビッグプロジェクトをやり遂げたことはなかった。それがワールドカップという、世界最大級のスポーツイベントを共催して成功させたのである。
この大会が、両国の草の根的な交流を促進させたことは間違いない。そういう下地があったからこそ、NHKはBSの海外ドラマの枠で韓国ドラマを放送することに前向きになった。その第1作目に選ばれたのが『冬のソナタ』だった。
NHKとしては、初めて放送する韓国ドラマに不安があった……果たして、日本の視聴者が好意的に受け止めてくれるかどうか、と。
しかし、心配は杞憂だった。
放送が始まると「ストーリーが面白い」「主人公のペ・ヨンジュンとチェ・ジウが魅力的」「映像が美しい」「洗練された音楽が素晴らしい」といった称賛の声がNHKに数多く寄せられた。(ページ2に続く)