墓の草刈りが大変な作業
墓守にどんな重労働があるのか。
韓国では墓参りをするのは秋夕(チュソク)のときと決まっている。秋夕は旧盆のことで、旧暦の8月15日がその日にあたる。新暦では9月下旬になることが多い。
この時期になると、夏の間に成長した雑草で墳墓は覆われてしまう。そんな状態で墓参りをしたら先祖に失礼なので、秋夕の前に一族総出で草刈りをする。これを「ポルチョ」と言う。
父の故郷では、甥たちが11の墓を守っていた。それがすべてバラバラに散っている。他人のミカン畑の中にある墓もあれば、空き地にポツンと作られている墓もある。「ポルチョ」のときには、そのすべてを回って草を刈る。しかも、かつては手作業だった。大変な重労働である。
母は、父の甥たちに申し訳ないと思い、散らばっている11の墓を1か所に集める計画を立てた。そのほうが、「ポルチョ」が少しは楽になる。そこで、母は一族の墓地用の土地を入手した。
あれは、1999年だったか。父の故郷で大々的な墓地の引っ越しが行なわれた。私も手伝ったが、済州島にいる墓職人がみんな集まったのではないかと思えるほどの作業が行なわれ、テニスコートが4つくらい作れるような土地に、我が先祖の11の墳墓がきれいに並んだ。
これで母の心配の種が1つ減った。その母も8年後には自分が作った墓地の12番目の住人となった。(ページ3に続く)