別人になっていくテギル
第1話の冒頭でわずかに登場したときのチャン・グンソクは、眼光が鋭く、表情に凄味があった。今までとは違うことをうかがわせる演技だった。
しかし、第3話の終盤から出てきたチャン・グンソクの演技は、ラブコメの延長線を思わせるものだった。無鉄砲な20歳の若者の役なので、それは仕方がないことなのだが、第4話でも演じる役のイメージは変わらず、ややもすると、視聴者に「チャン・グンソクは相変わらず」という印象を与えたかもしれない。
チャン・グンソクは脚本どおりに精一杯に演じているのだが、視聴者はどうしても先入観で俳優を見る。その点で彼が損をした部分はあるだろう。
ただし、第4話の終了後に第5話の予告編を見て目を見張った。テギルを演じているチャン・グンソクが別人に変身しているではないか。
いよいよ、テギルが父親のカタキを取るために、ものすごいイカサマ師になっていく展開のようだ。目的を果たすためなら、鬼のように剣を振り回す。これこそが、別人になったテギルをあらわしている。
チャン・グンソクもこういうストーリーを知って、制作発表会で「テギルという役をのがしたくなかった」と語ったのではないか。
復讐に燃えるテギル。それを演じるチャン・グンソクが、かつて見せたことがない「冷徹で強靱な男」になる。その姿に『テバク』の視聴率挽回の可能性を感じた。
絶対に巻き返せる。そう信じて4月11日の第5話の放送を待つ。
(文=「ロコレ」編集部)