様々な検査を経て連隊に入隊
1日目の予定が終わると、以後は夕食を取り、宿舎で休むことになる。
このときは間違いなく衝撃を受けるだろう。覚悟していたとはいえ、大量に調理された夕食は母親の手料理とはあまりに違うし、宿舎は板間で自分のスペースは1坪もない。訓練兵たちは一列になって簡易布団を敷いて雑魚寝するのである。
自宅の個室に寝ていた今までとはあまりに違う。その状況に慣れなければ軍隊生活を続けることはできない。いくら落ち込んでも、慣れるしかないのだ。
2日目の朝6時半。起床ラッパのけたたましい音で訓練兵たちが起きる。
「家に帰りたい!」
誰もの顔にそう書いてある。しかし、現実は過酷だ。家に帰るどころか、すばやく支度をして練兵場に出ていかなければならない。
練兵場で点呼を受け、さらに分隊長から軍人の立ち方や歩き方を教えられる。
2日目の重要な行事は、健康診断である。ここで、今後の厳しい訓練を受けられる身体であるかどうかが判定される。
もし健康に問題があれば、病院で治療を受けることになるが、「とうてい軍務に耐えられない」と診断されれば帰宅を命じられる。このように自宅に帰された者は、健康を取り戻した後に改めて兵役の義務を務めることになる。
3日目になると、知能検査や適性検査が行なわれる。知能検査で点数が低いと、特技兵に志願していた人もその権利を取り消されることがある。みんなが真剣にマークシートの回答欄を黒く塗りつぶしていく。
4日目には軍服を支給される。自分の体格に合った軍服を着た訓練兵たちは、配属された連隊に出向き、ここで小銃を割り当てられる。3泊4日の準備期間を経て、いよいよ、連隊入隊式に臨み、軍人としてスタートを切る。
軍人となった訓練兵は同期の10人くらいと一緒に記念撮影をする。その写真は陸軍訓練所のホームページにアップされて、両親や恋人たちが自在に見ることができる。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)