IUはダイアモンド!/第1回「降板を告げた」

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是枝裕和監督の映画『ベイビー・ブローカー』は、赤ちゃんを預けるベイビー・ボックスを描いている。そして、そうそうたる出演者が揃った中で、赤ん坊の母親を演じたのがIU(イ・ジウン)である。

画像=tvN『私のおじさん』公式サイトより




もう一つのドラマ

『ベイビー・ブローカー』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、監督や主要キャストがレッドカーペットに登場したが、その場で一番華やかだったのがIU(イ・ジウン)だった。
その映像を見ながら、「もしも、あのときに、本当に降板していたら、レッドカーペットに出てくることもなかったのだなあ」と思ってしまった。
ここで言う「降板」とは、何をさしているのだろうか。
それは、IU(イ・ジウン)が薄幸なヒロインを演じた『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』のことだ。
このドラマの撮影当時のことを振り返ってみよう。
撮影が少し進んだとき、突然、IU(イ・ジウン)が「降板したい」と言い出した。彼女なりの苦渋の決断だった。
体調が本当に悪かった。しかも、最後まで撮影を続行できるかどうか、自信を持てなかった。それゆえ、彼女は今までの撮影経費を弁償することも含めてキム・ウォンソク監督に「ドラマを降りたい」と懇願した。




驚いたキム・ウォンソク監督は「今まで本当に素晴らしい演技を見せていること」と「このドラマでいかに必要な女優であるかということ」を丁寧に説明し、IU(イ・ジウン)を説得した。
それに応えて、彼女は降板を取り消す決断をした。
以降は、IU(イ・ジウン)も撮影に集中した。その結果として、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』は最後まで撮影を続行することができたのだ。
撮影開始、体調の悪化、増幅する不安、降板の決心、監督への懇願、度重なる説得、ようやく翻意……『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の撮影当初には、そういう「もう一つのドラマ」も起こっていたのである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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