2003年にNHKのBSで『冬のソナタ』が放送されて韓国ドラマに興味を持った人たちが驚いたのは、日韓のドラマ放送のスタイルが大きく違っていたことだ。韓国ドラマはどんな放送形態だったのだろうか。
リアルな会話
2003年当時、韓国で放送されるドラマの本数は本当に多かった。
週5日放送する「毎日ドラマ」が朝と夜にズラリと並び、さらに夜には「ミニシリーズ」と称するドラマが目白押しとなる。
「ミニシリーズ」の場合、週二度の放送が普通だ。月火、水木、土日といった具合に、2日連続で放送するのである。日本は週一度が基本だから、システムはまったく違う。本数の面でも、韓国のほうがドラマ漬けになる確率がずっと高いといえそうだ。
ドラマで描かれる内容を見てみよう。
朝の「毎日ドラマ」は、題材の多くが、複雑な家庭環境で苦悩する女性主人公というパターン。相手役の男性は身勝手なタイプが多く、外で子供をつくったり浮気をしたりして女性主人公を苦しめる。朝の視聴者は女性がほとんど、というのを意識した物語設定だ。さらに、嫁姑の確執がこれでもかと描かれ、音量過剰な暗い音楽が否応なく流れる。
空港の待合室で見ていた日本人がたまらずに「韓国は朝から随分深刻なドラマを放送しているよな」とあきれていたが、その気持ちはよくわかる。
ただし、朝はもっと爽やかな雰囲気のドラマがいい、と思うのはあくまでも日本的な発想。韓国では朝だろうが夜だろうが関係ない。話の筋は常にドロドロしていなくてはならないと徹底しているのだ。
何よりも家族の絆をとても大事にする国なので、視聴者はドラマで描かれる不幸な家族関係に引き込まれ、自分も一緒になって心配しながら一喜一憂しているのである。
会話もリアルだ。ドラマの中では嫁だろうが姑だろうが誰もがはっきり言いたいことを言って、言葉のバトルが凄まじい。「そこまで言うのか」とハラハラするが、喜怒哀楽がストレートでないと韓国人には受けない。そんなわけで、人間関係の確執を激しく描くドラマが「毎日」「全局」で放送されている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)