康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島8/バスの停留所

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雲林山房にいたら、そのうち中年男性だけの団体客がやってきて、大声で冗談を言い合っていた。総勢で20人ほど。顔が真っ赤な人が多く、バスの中で賑やかに酒盛りを楽しんでいたことをうかがわせた。

こうして「神秘の海割れ」が起こる珍島を後にした




木浦へ向かう

静寂が破られたので、私は雲林山房を出た。道路を隔てた向かい側の食堂にも大勢の団体客がいた。テラスでマッコリを飲む人たちが大声で笑い合っている。駐車場に目をやると、幹事役の人が手に抱えきれないほどの焼酎を持って観光バスの中に入っていく光景も見られた。このときばかりは、素直に一人旅の寂しさを感じた。
ハラボジに言われた通り、駐車場の先まで行ってバスの停留所を探したが、どうしても見つからない。近くに観光案内所があったので、そこで聞いてみようと行ってみると、偶然にも先ほどのハラボジが座っていた。
「バスの停留所がわからないのですが……」
「駐車場の端に立っていればバスが停まってくれるから心配はいりません。それより、まだ時間があるから中に入っていらっしゃいよ」
好意に甘えて、私は小さなプレハブの中に入った。ハラボジの横には40代の男性が一緒に座っていた。




「雲林山房はどうでした?」
ハラボジにそう聞かれたので、私は大きく頷きながら言った。
「山水画も良かったし、蓮池の周辺の景色が美しくて安らぎますね」
「気に入ってもらえて私もうれしいですよ。2日前の海割れのときも、日本からのお客さんが何人かここに来ましたよ」
そんな会話をしている間にバスが来て、ターミナルに行くことができた。
そこからバスで珍島から北上して木浦(モッポ)へ向かった。
朝鮮半島西南端の海岸沿いをバスは走ったが、遠浅の海がどこまでも広がっていて、その先には無数の島影が見えていた。
(終わり)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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