康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島1/韓国で3番目に大きい島

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

韓国南部の南海(ナメ)の街からバスに乗り、延々と続いた穀倉地帯が尽きると、目の前に大きな橋が見えてきた。1984年に完成した珍島(チンド)大橋である。長さは500メートル。下の海をのぞいたら、潮の流れが速いのがよくわかった。

「神秘の海割れ」が起こる海岸




珍島犬

韓国本土と珍島の間の海は、海流が複雑なことでよく知られており、場所によっては海面が渦を巻いている。「海が鳴く」という意味合いで「鳴梁(ミョンリャン)」と呼ばれているが、潮の速さをうまく利用したのが、救国の英雄とされている李舜臣(イ・スンシン)である。
彼は、豊臣軍が朝鮮半島に押し寄せた文禄・慶長の役のとき、亀甲船を使って日本の海上勢力を駆逐したことで有名だが、特に「鳴梁」で手腕を発揮した。わずか12隻の亀甲船で相手の130隻を撃破したという記録が残っている。地元の地形を熟知していたことが、世界の海戦史上で例がない圧倒的勝利の原動力となった。
橋を渡りきって、いよいよ珍島に入った。
珍島は韓国で済州島(チェジュド)、巨済島(コジェド)に次いで3番目に大きい島で、面積は430平方キロメートル。日本でいえば、種子島と同じくらいの大きさである。とにかく、この島は「神秘の海割れ」が起こることで有名だ。




道の両脇に「珍島犬」と大きく書かれた看板がやたらと見えるようになった。
珍島犬は天然記念物第53号に指定されていて、国によって保護されている。もともと朝鮮半島に古来からいた犬の種族で、珍島が島であったために、その純粋な血統が残されたのである。
賢い犬で、耳は三角形でつんと尖りながら前にやや傾いている。頭は八角形に近く、尾は短くて太いが、力強く反り返っている。小柄なわりに精悍な体型をしており、飼い主に忠実なことでもよく知られている。なにしろ、珍島から大田(テジョン)に売られた白い珍島犬が、飼い主を慕って220キロの距離を越えて帰ってきたという実話があるほどだ。その犬が死んだとき、村人たちは忠犬の死を悼み銅像まで建てたという。まさに、韓国版の忠犬ハチ公だ。
私も犬好きだったら、「珍島犬」の看板が出ている店に行って、忠犬の相が顔に強く出ている犬を探すところだが、幼い頃に兄が犬に噛まれて家中が大騒ぎになって以来、私も敬遠する習性がある。小犬が寄ってくるだけでも腰が引けるほどだから、忠犬の飼い主には到底なれない。ただ漠然と看板を見ているうちにバスターミナルに着いた。
(続く)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島2/島のど真ん中

康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島3/海割れの伝説

康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島4/神秘の海割れ

必読!「ヒボン式かんたんハングル」

「韓流ライフ」というジャンルの中に、「ヒボン式かんたんハングル」というコーナーがあります。ここには、日本語と韓国語の似ている部分を覚えながら韓国語をわかりやすくマスターしていく記事がたくさん掲載されています。日本語と韓国語には共通点が多いので、それを生かして韓国語の習得をめざすほうが有利なのです。ぜひお読みください。

ページ上部へ戻る