韓国社会のルールブック「第3回・死罪」

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現代韓国の場合

毒を仰いで死んだのは、身体を傷つけないためであった。
朝鮮王朝では儒教を国教にしていて、その思想が国土の隅々まで浸透していた。その儒教の最高の徳目は「孝」である。親孝行こそが一番大切であると信じられた社会では、親にもらった身体を傷つけるのは、親不孝の最たることであった。
そういう事情があって、たとえ死罪になっても身分が高い人たちは身体を傷つけずに死んでいったのである。
江戸時代の切腹と、朝鮮王朝時代の賜薬。同じ時代でも、日本と朝鮮半島では身分が高い人の死罪の方法が対照的であった。
時代が下って、現代の韓国はどうか。
まったく逆のことが起きている。美容整形のことだ。親にもらった身体の一部(主に顔)にメスを入れる人がいる。
ただ、それは親も承知のうえだ。




むしろ、親が高校を卒業した娘に勧めるケースもある。「娘の将来を考えると、そのほうがいい」と判断して親が費用まで出す場合があるのだ。こうなると、美容整形をしたほうが親孝行ということになる。
親孝行の形は、朝鮮王朝時代と現代韓国では極端に変わったと言える。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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