『九尾の狐とキケンな同居』はファンタジーな世界観をひたすら楽しむラブコメディ

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チャン・ギヨン×イ・ヘリ(Girl‘s Day)主演『九尾の狐とキケンな同居』は九尾狐(クミホ)と女子大生が繰り広げるラブコメディ。荒唐無稽なストーリーだとわかっていてもファンタジーラブコメはやっぱりおもしろい。




男女間の友情の描き方が面白い

『九尾の狐とキケンな同居』は2021年5月から7月まで韓国tvNで放送されたドラマで、999歳の九尾狐(クミホ)と22歳の女子大生が繰り広げるラブコメディだ。
九尾狐と人間のラブストーリーなのだから荒唐無稽なストーリーであろうことは最初からわかっていた。瞬間移動しようが変身しようが構わない。ただひたすらに楽しめばいい。そう思えるドラマだ。
九尾狐(クミホ)とは中国に伝わる伝説上の生き物で9本の尾を持つキツネの霊獣または妖怪のこと。日本人にとってはあまり馴染みのない妖怪だが、韓国には九尾狐を題材にした作品がたくさんある。
とりたてて好きなジャンルというわけではなかったが個人的に『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で薄幸な青年を演じたチャン・ギヨンの九尾狐を見たさに視聴した。加えて、ヒロインが『恋のスケッチ~応答せよ1988~』のイ・ヘリ(Girl’s Day)だったこともあり、なおさら視聴意欲を掻き立てられた作品でもあった。




本作は、999年のあいだ人間になるという目的を持って生きてきた九尾狐シン・ウヨ(チャン・ギヨン)と歴女で天然キャラの女子大生イ・ダム(イ・ヘリ/Girl’s Day)が繰り広げるファンタジーラブコメディである。
九尾狐は人間の精気を吸い取ることが本来の習性とされている。ウヨは人間になるために何世紀にも渡って人間の精気を集めてきたが、ひょんなことから人間の精気が入った玉を通りすがりのダムが飲み込んでしまった。その玉を守るためにウヨとダムの同居生活が始まる。
ウヨが九尾狐だということに最初は戸惑うダムだが、心優しいダムは長い間のウヨの苦悩や悲しみを自分のことのように共感し寄り添うようになる。そんなダムにウヨが心を開き愛するようになっていく様に見ているほうも心を奪われてしまう。
999歳のウヨを「オルシン!」と呼ぶダム。オルシンとは韓国語で年配者を呼ぶ時の敬称で日本語なら「お爺さま!」と呼んでいることになる。「オルシン!」と呼びながらのデートシーンは一見笑えるように思うが、ドラマを見ているとなぜか違和感がない。




なぜなら、チャン・ギヨン扮するウヨがやけに落ち着いているのだ。もう少しで1000歳の超ご高齢オルシンの雰囲気をチャン・ギヨンが見事に醸し出している。『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』での薄幸な青年は、超絶イケメンな面持ちはそのままに品のあるご老人九尾狐になっていた。
本作はカメオ出演が素晴らしいのも見どころの一つだ。中でもコ・ギョンピョとヘリが絡んで羊がメェ~~と泣くシーンは『恋のスケッチ~応答せよ1988~』を連想させ、もう笑うしかない。
また、ウヨの女友達ヘソン(カン・ハンナ)にもとても惹かれた。ヘソンは747歳の元九尾狐でウヨより早く人間になった女性。だが人間になって間もないため、ダム以上に天然キャラなのだ。そんなヘソンの恋物語もサブストーリーとして大いに楽しめる。
高麗時代から700年以上ウヨと深い友情で結ばれているヘソン。ヘソンとウヨの友情も見逃せない。本作は男女のロマンスだけでなく、男女間の友情の描き方もおもしろいのだ。これほどまでに気の置けない異性の友人がいたら人生が楽しいだろうなと思わせてくれる。




999年生きてきた九尾狐と女子大生のラブストーリー『九尾の狐とキケンな同居』は、ただひたすらファンタジーな世界観を楽しめるラブコメディだ。

文=朋 道佳

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