韓国には、多くの大学に演技を学ぶための演劇関連学科がある。その数は40以上。受験者数も多く、かなりの難関になっている。なぜ、これほど人気があるのだろうか。韓国の実情を報告しよう。
俳優への道は険しい
俳優の卒業生が多い名門大学の教員は次のように語っている。
「演劇関連学科の人気が高いのは、学生たちが韓国芸能界の実情をわかっていないからかもしれません。というのは、高校を卒業したばかりの新入生たちは、大学の演劇学科に行けば『芸能人にしてくれる』『芸能人になればお金もたくさん稼げる』と思ってしまいがちなのです。大学に入れば学ぶことはたくさんあり、とても大変なのですが、多くの学生が芸能界に対する表面的なイメージだけで入学を決意してしまっているのが現状です」
「しかし、現実は違います。最初は俳優になろうとトライする学生が多くいますが、すぐに壁にぶつかります。たとえば劇団に入れば、最初はトイレ掃除からさせられるのが当たり前。でも、一流の大学を卒業したという自負もあり、我慢できないのです。それでやめてしまう場合が多々ありますね」
実際、名門大学の演劇関連学科を卒業したとしても、一流の俳優として成功できるのはほんの一握り。しかも、そこにたどり着くには長い道のりが必要だ。
たとえ成功した俳優でも、卒業後の5年くらいは苦労している。希望を持って何年も我慢してきた人でも、結局あきらめてしまう場合もあるのだ。
「自分は性格的に芸能界じゃないと絶対にダメ!」
そう強く思える人でなければ、かなり難しいかもしれない。
しかし、働き場所にこだわらなければ、チャンスはいくらでもある。
たとえば、地方自治体では自治体ごとの芸術に関するコンテンツ開発を進めていて、そこでは多くの俳優を募集している。もちろん競争はあるが、それ以上に需要もあるということだ。
「俳優の需要はあるのですが、ソウルの学生は地方に行きたがりません。地方で演技をしている俳優たちは、質が高くないと思っているようです。だからといってソウルで俳優になるのは簡単ではない。それで結局は、『必ずしも俳優になる必要はない』という結論にたどり着いてしまうようです」(前出の教員)
また、演劇関連学科の卒業生でも、一般企業に務める人も少なくない。実際、俳優だけで生計を立てるのはとても難しく、女性の場合は結婚を機にやめてしまうケースもかなりある。また、男性も結婚して家族を持つと、家族のために一般企業へ転職することが多いようだ。
俳優への道が険しいのは、日本も韓国も変わらない。
文=「ロコレ」編集部
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