まさかの出会い
スクチャは若いころから苦労を重ねて自分の会社を大企業に育て上げた。彼女の息子は30代の若さで交通事故により亡くなっていて、それが彼女にとっては痛恨の極み。その亡き息子の子供が、ファンとその妹のチョン(ハン・イェウォン)である。
ここでウンソンとファンが繋がる。2人は空港でカバンを取り違えた一件で面識があり、そのときの行き違いから犬猿の仲になっていた。
スクチャからすれば、ウンソンは命の恩人。そればかりか、ケガのあとにもウンソンの部屋で世話になっている。そのときに、ウンソンの優しさと愛情に感動した。
「今の時代にも、こんなに思いやりがある娘がいるのか」
そのことに感心したスクチャは、ウンソンを自宅に招き入れる。あまりの豪邸にウンソンは驚くが、さらにスクチャは「この家に住みなさい」と勧めた。ウンソンは恐縮してその申し出を固辞したのだが、スクチャは「行方不明の弟を必ず探してあげるから、家においで」と譲らない。結局、行方不明の弟を探してくれるのであれば、ということでウンソンはスクチャの家に住むことになった。
そこで、またもやファンに再会することになったウンソン。まさか、彼がスクチャの孫だったとは思っていなかったので本当にびっくりした……。
以上が『華麗なる遺産』の導入部のストーリーだ。
ドラマのテンポがとても良く、毎回最後の場面では次が気になるように本当にうまく終わらせる。それゆえ、どうしても次が見たくてしょうがなくなる。それも視聴率がアップした理由になった。
ドラマというのは、見ている人が登場人物に感情移入できれば、それだけますます面白くなる。
たとえば、本当に困っているウンソンを心底から助けたいと思ったり、悪女であるソンヒをこらしめたくなったり、死んだことになっているピョンジュンに早く名乗り出るように勧めたくなったり……。
『華麗なる遺産』は見ている人がいろんな気持ちを込めたくなるドラマなのだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)