かつて芸能界は、韓国社会の中でも古い体質がそのまま残ってしまった業界だった。上下関係が厳しく、隷属的な契約も多かった。さらに、芸能事務所が所属する芸能人をしっかり管理することができない例が多かった。
時代は変わった
インターネットが飛躍的に普及する以前には、芸能人の不祥事が表沙汰になることは少なかった。
韓国には芸能スキャンダルを暴く雑誌もなければ、テレビのワイドショーも芸能ネタを扱わなかったからだ。マスコミは芸能界と同じ村社会を形成し、お互いに「持ちつ持たれつ」の関係を築いていた。
しかし、そんな状況をインターネットが変えてしまった。
今では、SNSの発達によって、芸能人のプライバシーが表にあらわれることが多くなった。また、芸能人のスキャンダルを暴くネット系のイエロージャーナリズムも増えてきた。その結果、かつてのように、不祥事を隠し通すことが難しくなってきた。
現実的に言えば、芸能人の不祥事の多くに酒がからんでいる。韓国ではアルコール度数が高い酒が好まれる傾向が強く、かつて『朝鮮日報』が「酒乱撲滅キャンペーン」をせざるをえないほどに社会問題になっていた。
芸能人の側にも言い分がある。人気に左右される厳しい業界に身を置いていて、精神的な重圧も生半可ではない。
そんな中で、酒を楽しむことは息抜きにちょうどいいのだ。人間関係を円滑に保つうえでも酒は潤滑油になる。
しかし、なにごとも「過ぎたるは及ばざるがごとし」である。酒がからむ女性問題、飲酒運転、暴力行為をなくすためにも、ここはしっかり自重せざるをえない。
もう1つは舌禍事件である。
「韓国人の一番のストレスは、自分が言いたいことを言えないこと」
そう評されるほど、韓国の人たちは自分の主張を隠さない。
それはいいのだが、誰かとヒソヒソ話をするのとSNSで発信するのとでは、拡散の度合いがまるで違う。
結局、慣れないSNSで不用意な発言をして謝罪に追い込まれるケースが増えてしまうのである。
芸能人のモラルが低下しているわけではない。
それどころか、若い芸能人には真っ当な倫理観を持っている人が多く、男子であれば兵役も立派にこなしている。
今後大事なのは、芸能事務所が所属する芸能人をしっかり管理し、本人たちも公人であることを自覚することだ。もちろん、酒も控えなければならない。言いたいことも少し我慢しよう。
そうしたことは、芸能人がインターネット社会で人気を持続するために不可欠なことなのだ。
文=「ロコレ」編集部
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