大統領に権限が集中
今回の朴槿恵スキャンダルは、大統領個人の資質に問題があることは明らかだが、そもそも大統領制度にも課題があるのではないだろうか。
1997年12月の大統領選挙で金大中(キム・デジュン)候補が当選したとき、彼は議院内閣制への移行を公約に掲げていた。
しかし、金大中は大統領在任中に議院内閣制への移行を果たせなかった。本人が積極的に推進したという印象もない。自分が当選してしまうと、絶大な権力を持つ「大統領病」にかかってしまったのかもしれない。
こうした大統領の制度を考える度に、朝鮮王朝のことを思い出してしまう。1392年から1910年まで続いた朝鮮王朝は、国王を頂点とする典型的な中央集権国家だった。すべての権限が国王に集中していたが、その国王が代わると政権首脳部も一変し、前政権の遺産は何も残らなくなった。その変化はあまりに極端だった。(ページ3に続く)