現代の格差社会を批判
母親の突然の変わりように戸惑う息子ハル(チョン・ジフン)が友達から「うちのママもコーネンキなんだよ」という言葉を聞き、ありったけの小銭を握りしめてコーネンキの薬を買いに行く姿には、あまりの可愛さに胸がキュンとなります。
反抗期の娘ハヌル(ソ・シネ)も、ヨヌとの“母娘あるある”のような掛け合いで楽しませてくれます。ソ・シネは2007年に韓国で大ヒットしたドラマでチャン・ヒョクとコン・ヒョジン主演の『ありがとうございます』で、エイズに感染した子供ボミを熱演しましたし、日本でも多くの韓国ドラマファンの心に残っている子役の1人ですね。
この作品は、真逆の人生を生きるという荒唐無稽なストーリーではありますが、現代の韓国の格差社会を痛烈に批判しているところがヒットした要因かもしれません。平凡な主婦の姿になったヨヌが敏腕弁護士の片鱗を時折見せるのも面白く、小気味よいストーリーにぐいぐいと引き込まれていきます。
カン・ヒョジン監督はオム・ジョンファを「俳優は大勢いるが、物語をリードできる女優は多くない」と絶賛しています。確かに、オム・ジョンファ主演の作品は安定感があり、安心して見ていられるような気がします。この作品においても、彼女の計り知れない表現力と長年培ってきた女優としての底力を存分に堪能することができます。
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