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康熙奉(カン・ヒボン)の「日韓が忘れてはいけない人11」

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「布施辰治出生之地」と書かれた石碑

石碑「布施辰治出生之地」

「写真がありますから、ちょっと待っていてください」

そう言って、男性は額縁に納められた写真を持ってきてくれた。そこには、茅葺き屋根の家が写っていた。

「かつては出生の地を示す碑が家の前にあったんですが、事情があって近所の集会所の前に移っています」

そう聞いて、教えられた方向に200メートルほど行くと、集会場の前に「布施辰治出生之地」と書かれた石碑が建っていた。

実際の生家と、それを示す石碑の場所が離れてしまっているが、広義にその地区を「出生之地」と考えれば、それで十分に納得がいく。




今、人権の尊さが叫ばれている時代でも、果たしてどれだけの人が他人の人権に配慮できているだろうか。

そのことは私も大いに反省するところだが、思想の自由すらない時代に、身を盾にして人権擁護や社会的弱者の救済に立ち向かえる人には、ただひたすら頭が下がる。不自由で困難な時代でも、この人たちの精神こそが最も自由で闊達だった。

「生きべくんば民衆とともに、死すべくんば民衆のために」

布施辰治の人生をたどっていくと、この言葉が素直に心にしみてくる。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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