つかんだ手応えの根拠とは?
『テバク』の放送が終わったことに対して、チャン・グンソクはこうも言っている。
「撮影現場では、若い俳優だけでなく、尊敬する先輩たちからもたくさんの指導を受け、さらに一緒に楽しく作品を作ることができて幸福でした」
この発言の中で、「幸福」とあえて表現していることに注目したい。
「うれしい」でもなく「喜び」でもなく、はっきりと「幸福」と口にしたチャン・グンソク。そこには、『テバク』に関して大きな手応えを感じていることがうかがえる。
その手応えの根拠とは何か。
ここで重要なのは、「作品を通して、私が一体なぜ俳優を続けているのかという理由を見つけ出すことができました」という発言だ。
この言葉を見るかぎり、以前のチャン・グンソクは「このまま俳優を続けていけるだろうか」と悩んでいたに違いない。
その不安は強くなるばかりだったのだが、『テバク』で主人公テギルを演じきったことで、チャン・グンソクは「大丈夫。俳優を続けていける」と確信を持つことができたのだ。もちろん、彼があえて「先輩」と呼んだチェ・ミンスやチョン・グァンリョルの影響もあっただろう。名優たちとの共演を通して、チャン・グンソクは今後自分がめざすべき目標をしっかり見据えたのだ。それによって、このまま俳優を続けていく理由をしっかりと見つけ出した、というわけだ。
様々な形で、『テバク』はチャン・グンソクに自信をもたらす作品になった。演じきった成果はとても大きかったと言うべきだろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)