「背水の陣」で臨んだ作品
俳優にかぎらずどんなジャンルでも、成功体験が将来を閉ざす、ということがよくある。人は一度の成功に固執しすぎて、新しいチャレンジをせずに、自らの可能性を狭めてしまいがちなのである。
それでも、一度も成功しなかった人から見れば羨ましいかぎりなのだが、チャン・グンソクほどのトップレベルになると、常人とは目標設定が根本的に違う。
確かに、彼は『美男<イケメン>ですね』で大成功を収めた。韓流人気の頂点を究めた、と言っても過言ではなかった。
しかし、俳優としてのチャン・グンソクは苦悩の道に迷い込んだ。とりわけ、『ラブレイン』と『キレイな男』の視聴率が非常に悪く、彼は自尊心を大いに傷つけられたに違いない。
状況としては、『美男<イケメン>ですね』の大成功を忘れて、一からやり直す覚悟を持たなければならなかった。そんな追い込まれた状況の中で『テバク』のオファーを受けたのである。
制作発表会で述べたように、「今までのものを捨てる」という覚悟に至ったのは、危機感がとても強かったことの表れだ。
いわば、「背水の陣」で取り組んだ『テバク』の主演。撮影では本物のヘビを食らうほどの俳優魂を見せていた。(ページ4に続く)