2回にわたって陸軍の軍楽隊について紹介してきた。今回は「後編」として、軍楽隊が参加する行事や、軍楽隊員としての心掛けについて触れていこう。芸能人にとって、やはり軍楽隊は自分の能力を十分に生かせる部隊である。
安定したメンバー構成が難しい
前編と中編で書いたことを最初にまとめておこう。
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- 師団に所属する軍楽隊の構成メンバーは25人ほど。隊員は5~7人くらいの分隊に分けられ、分隊ごとにそれぞれ兵舎で生活をともにする。
- 師団に所属する軍楽隊の隊員は、新兵訓練中の兵士の中から選抜されることが多い。
- ユンホは、「打楽器の軍楽隊員」として第26師団の軍楽隊に入っている。
- 陸軍は通常、土日の軍務が休みだが、軍楽隊員は休日出勤でイベントに出ることも多い。そんなときは、後に代休を取る。
- 軍楽隊の隊員は、木管楽器が10人前後、金管楽器が12人前後、打楽器が4人前後で構成される。
- 正式な行事以外にもバンドを組んで民間向けのコンサートに出向くことも多い。
以上のとおりだが、軍楽隊でいつも苦労するのが各楽器をバランスよく揃えるためのメンバー構成である。
というのは、各兵士は新兵訓練を含めて21カ月で除隊するので、定期的にメンバーが抜けてしまうのである。
そのために、いくつかの楽器が欠けてしまうこともある。あるいは、特定の楽器を担当する人の力量が落ちる場合もある。
そのあたりが、いつも軍楽隊長の悩みの種なのだ。
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