子役を使わない利点
……どう演じれば、普通の高校生のように見えるのだろうか。
ペ・ヨンジュンなりに、いろいろと工夫を試みた。その中で、特に心掛けたのが、目の演技だった。
言いようのない孤独、出自に対する猜疑心、異性への恥じらい、大人への反抗、初めての恋の喜び、純粋すぎる感性……。そうした10代の情感をペ・ヨンジュンは目の動きで表した。
もちろん、29歳が17歳を演じるのだから、映像の上で違和感が残るのは仕方がないことだが、それでもペ・ヨンジュンが演じた高校生には、「本当にこういう子がいるんだろうなあ」と思わせる真実味があった。だからこそ、『冬のソナタ』は初恋を追憶するドラマとして大成功したのである。
ユン・ソクホ監督の意図は、本当に正しかった。
仮に、高校時代のチュンサンに子役を使ったとしたら、視聴者はこのドラマにあれほど感情移入できただろうか。多少の無理は承知のうえで、ペ・ヨンジュンが高校時代と10年後の両方を演じたからこそ、初恋への追憶はあれほど真に迫っていたのである。それは、高校時代と10年後を同じく演じたチェ・ジウも同様だった。二人はまさに最高の共演相手を得たといえるだろう。
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