大学受験に失敗
大人からは問題があるように見えても、ペ・ヨンジュンは強い信念を持っていた。どんな結果になろうとも、かならず自分で責任を負う、と……。
そういう意味でペ・ヨンジュンは悔いなく高校時代を過ごした。
けれど、手痛いしっぺ返しが待っていた。檀国(タングッ)大学の建築工学科を受験したが失敗してしまった。
なんといっても、ベビーブーム世代の一員である。大学はどこも競争率が非常に高く難関ばかりだった。しかも、人気の高い建築工学科だけに、合格は非常に難しかった。
浪人生活を余儀なくされたペ・ヨンジュンだが、しばらくは勉強が手に付かず、地方をブラブラと放浪して歩いた。
自分を鍛えなおしたくて、山寺にこもったこともあった。入山して修行するというのは韓国ではよくあることなのだ。
寺での生活は自分を見つめなおすのに良い機会を与えてくれた。司法試験の準備に没頭している先輩たちの姿も恰好の刺激になった。ペ・ヨンジュンは中学時代のガリ勉時代を思い出し、もう一度チャレンジする気概を持った。
そして、志望分野も法学に変え、猛勉強をして2度目の大学受験に望んだが、残念ながら望みをかなえることはできなかった。
さすがに、もうブラブラしているわけにはいかない。もう一度浪人をするつもりもなかった。
大学生になれなかったので、違う道を探さなければならない。
といって、さしあたり自分がやってみたいことは特になかった。そんなとき、ふと、小さいときに友達から言われた一言が甦ってきた。
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