初恋に胸を焦がしたが……
ペ・ヨンジュンは成績も良く、同級生からは尊敬のまなざしを向けられ、先生からも一目置かれるようになった。こうなると、いじめてくる奴もいない。ペ・ヨンジュンにとって中学時代は有頂天になってもおかしくないほど充実した時期だった。
しかし、何の悩みもなくバラ色に輝いていた日々を一変させる出来事が起きた。淡い初恋である。
彼女は長い髪のかわいい少女だった。出会ったのは図書館。いつも同じ席で勉強をしていた。日ごとに彼女の存在が気になったペ・ヨンジュンは、何度話しかけようとしたことか。せめて名前だけでも知りたかった。
けれど、どんなに思いが募っても、いつまでも遠くから見守っていることしかできなかった。
「手紙だけでも渡したい……」
ラブレターを何度も書こうとしたが、結局は渡せなかった。恥ずかしがり屋で臆病な自分にこのときほど腹が立ったことはなかった。
彼女が大好きな自分。
でも、近づくことさえできない自分。
恋とはなんと残酷なものだろうか。
寂しさと情けなさでペ・ヨンジュン少年の心はすさむ一方だった。
数カ月後、彼女は急に図書館に姿を現さなくなった。
名前さえ知らないので捜す手立てもない。こうしてペ・ヨンジュンの初恋は片思いのまま終わった。
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