朝と夕のスラサンは超豪華版
最も重点が置かれた食事は朝スラと夕スラである。王がスラサンを食べる時には3人の毒味用の女官がついて、出された料理がチェックされた。
それでは、どんなものがいつも出されていたのか。
スラサンの基本は御飯、湯、汁のある煮物、鍋物、沈菜(キムチの原型の漬物)と12種類のおかずで構成された。
御飯は白飯と赤飯の二つ、ワカメスープとコムタン(牛の肉と内臓を長時間煮たスープ)も出て、どちらか好きなほうを食べられるようになっていた。
12種類のおかずも豪華版だ。肉や魚の焼き物、チヂミ、肉類の蒸し物、熟菜(野菜類を茹でて作るナムル)、生菜(野菜類を生のままで作るナムル)、煮込み、漬物、魚介類の塩辛、干し魚、海苔、刺し身、半熟卵など。もちろんすべてを食べることはできない。少しだけ箸を付けて終わり、というわけで、残るものが多かった。
今でも韓国では、「食べ物を残すということは十分に満足したという意思表示である」という考え方が根強く、食べ物を残すことに抵抗感が少ない。「もったいない精神」からは縁遠いのも、スラサンの影響かもしれない。
食器は季節によって異なった。寒い季節には銀食器を使い、暑い季節には磁器食器を使った。
けれど、スプーンと箸はいつも銀のものだった。銀は毒に接すると変色するため、事前に毒の有無をチェックできる効果もあったからだ。(ページ3に続く)