日本のコリアをゆく(広島・鞆の浦編1)

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台地の上の福禅寺

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私は30代半ばに大学で歴史を学んだとき、卒論で朝鮮通信使の研究をした。その際、江戸時代の鎖国体制を以前から間違って捉えていたことを察した。

それまでは、長崎で限定的にオランダと貿易を行なっていただけで、徳川幕府はどの国とも外交関係を結んでいないと思っていた。

しかし、徳川幕府の将軍が変わったときには、朝鮮半島から慶賀の祝いのために使節団が度々来日していた。

つまり、鎖国というのは間違いであり、日本は朝鮮半島と善隣友好関係を築き、文化交流も盛んに行なっていた。




そんな時代の史跡を訪ねたいと思ったとき、大いに興味を持ったのが、朝鮮通信使にゆかりがある広島県の鞆(とも)の浦だった。

訪ねたときは、福山駅からタクシーで鞆の浦に向かった。

約20分で岬の先端に着いた。

そこには「瀬戸内海国立公園 鞆の浦」という看板が立っていた。海は穏やかで、陽光を浴びた水面がキラキラと輝いていた。

海とは反対の方向を見ると、目の前の台地の上に甍(いらか)が大きな寺が見えていた。それが福禅寺だった。
(ページ2に続く)

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