英祖に対して反乱を起こした男
粛宗のショックがいかに大きかったか。
彼は急激に衰えて、1720年に59歳で世を去ってしまった。無念の気持ちが命を縮めたのであろう(なお、淑嬪・崔氏のほうは、その2年前の1718年に48歳で息絶えていた)。
粛宗に代わって20代王になったのは景宗だった。
王位争いに敗れた英祖は、苦しい立場に追い込まれた。もし景宗に後継ぎがいたら、英祖は歴史から姿を消さなければならなかっただろう。
しかし、景宗に子供はいなかった。
さらに、景宗自身が1724年に亡くなってしまった。こうして英祖は21代王の座につくことができるようになった。
だが、宮中では「英祖が景宗を毒殺した」という噂が広まった。4年後には英祖を糾弾する反乱まで起きている。
このときの反乱の首謀者の1人が李麟佐(イ・インジャ)だった。『テバク』ではチョン・グァンリョルが演じている。
要するに、歴史上で李麟佐は英祖と激しく敵対する立場だった。
そうした関係を『テバク』はうまく取り込んで、ストーリーを大きく展開させているのである。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)