果たして韓国は日本に追いついた?
康「韓国の社会自体が、エリート主義と少数精鋭主義が顕著ですね。どの分野でも切り捨てられる人がどんどん出てくるわけですけど、それを見捨てて効率よく経済成長してきたのが今の韓国だと思います。それで見直してみたら、今まで自分たちが失ったものが多いことに気付いて、そこからフォローが始まっているのかな」
慎「組み込もうとしているんじゃないですか。それがまだ追いつかないのが現状だと思います」
康「でも、韓国の若者も大変ですね。大学進学率が80パーセントを超えていますが、卒業しても大卒に見合う仕事がいっぱいあるわけじゃないから」
慎「こんなことを言う人もいますね。今、学歴を取得してもまだまだ就職できない子たちがいるのは、結局みんながサムスンとかヒュンダイにばかり行きたがるから、と」
康「結局、みんな適材適所であるべきなのに、やっぱり学歴尊重主義にこだわりすぎているのではないですか」
慎「朝鮮王朝時代からの伝統だから仕方がないと思いますが……」
康「ところで、韓国では日本に対する見方が変化してきましたか」
慎「スポーツ分野で言うと、ステレオタイプみたいな対日感情がなくなったけれども、相変わらず『日本とやるときはかならず勝つんだ』みたいなのもあります。けれど、それが薄れてきていたりします。サッカーでも野球でもゴルフでも日本との交流が盛んですから、敵対とか対立という関係ではないですね。友好度が強いと思います。ただ、昔は韓国の選手たちは日本にだけ目を向けていたのが、今は世界に目を向けています」
康「それは、日本を参考にしたり意識する度合いが低くなったのでは?」
慎「極端な言い方をすると、無関心までいかないですけど、そんなに日本だけ意識していないということなんですよ」
康「はい」
慎「たとえば野球で言うと、日本のシステムや組織をいっぱい参考にした部分が昔は80%あったとすれば、今は30%とか40%ですね。逆にアメリカをいっぱい参考にしています。昔はJリーグを参考にする割合が70%だとしたら今は30%くらいになります。その分ヨーロッパに目が向いています」
康「すごくいい傾向だと思いますね。日本だけを意識して、日本との比較で韓国はどうこうじゃなくて、世界の中の韓国という意識が芽生えたんですよ」
慎「社会全般に言えるんじゃないですか。経済の部分でもグローバル市場に立ったという感じが強くなってきています。おそらく日本に追いついたという意識があるのでは……。もしくは特定の分野ではもう超えているというプライドがあると思いますよ」(ページ3に続く)