韓国の軍隊には少し前まで、軍隊内の慰問公演や軍の広報に務める国防広報院・広報支援隊員という制度があった。いわゆる「芸能兵」と呼ばれた存在である。彼らは軍部の広報やイベントを率先して行なう部隊であり、配属されるのも俳優やアーティストなど知名度の高い人物に限られていた。
あまりに長すぎる休暇
芸能兵は、皮肉をこめて“国内最高のエンターテイメントグループ”と揶揄されることもあった。
芸能兵は広報を担当するという性質上、一般大衆の前に姿を見せる機会も多く、韓流スターの入隊時には芸能兵に配属されることを願うファンもたくさんいた。
ところが、現役で入隊している一般兵の多くは芸能兵に悪感情を抱く場合が多かった。厳格な軍規と階級社会の軍隊生活で、“芸能人”だからと特別扱いすることに不満を抱くのも当然だろう。
そんな芸能兵制度に対する不信感が一気に増したのが2011年だ。ある議員が過去3年間の資料を調査してみると、ほとんどの芸能兵たちが90日以上休暇を過ごしていることが発覚したのだ。
しかも、中には150日以上の休暇を過ごしていた者までいたという。
150日といえば21カ月の軍生活のおよそ5カ月を休暇に費やしたことになる。一般兵の休暇が平均的に30日くらいなのと比較して驚異の数字だ。(ページ2に続く)