真冬の夜中の警戒勤務が大変
超新星のゴニルが入隊するのは第3師団の新兵訓練所である。
この第3師団は「白骨部隊」とも言われている。白骨になるまで戦い抜く気構えを持つことが伝統になっているからだ。それほど勇猛な部隊で、シンボルマークも不気味な頭蓋骨になっている。
しかも、鉄原という軍事境界線のすぐ南側を防衛するという非常に重要な任務を担っている。韓国陸軍の中でも最強の1つと言われているのも、その任務が特別だからだ。
その第3師団にゴニルはなぜ選ばれたのか。徴兵検査の成績が抜群だったからかもしれない。いずれにしても、兵役に入る新兵の中でも優秀であると認められているのは間違いない。
第3師団がある江原道(カンウォンド)の鉄原は、ソウルから北に80キロメートルの場所にある。軍事境界線のすぐ南ということは、韓国の最北部である。
「韓国でも一番寒い場所」
そういう言われ方をする。真冬の最低気温は平均的に零下20度くらいになり、特に寒いと零下30度近くまで下がることもある。まさに極寒の地である。
陸軍兵士になると、誰でもかならず警戒勤務という軍務を定期的にこなす。いわゆる歩哨のことであり、2人1組になって重要な場所を見回ったり、弾薬庫や軍幹部の宿舎を警備したりする。
およそ1時間~1時間半で次の組と交代するが、真冬の夜中にこの警戒勤務があると、寒さで凍え死ぬと思えるほどだという。それほど過酷な軍務を定期的にやらなければいけない。それもまた第3師団の宿命なのである。(ページ4に続く)