朝鮮戦争で街は廃墟
軍事境界線の手前でバスを下りて、そこから展望台で北朝鮮の方向を望んだ。
軍事境界線の南側(韓国側)には、腰の高さの壁で囲まれた円形の射撃台がところどころにあった。
北から越境してくる兵士がいれば、韓国軍の兵士が射撃台から狙撃するのであろう。生々しい戦場の雰囲気が漂っていて、緊迫感が胸に迫ってきた。
韓国と北朝鮮を分ける軍事境界線の中でも、その南側の中央部に位置しているのが鉄原郡である。その鉄原郡を守備しているのが第3師団というわけだ。
鉄原郡は、朝鮮戦争の際に激戦地となった。この地での攻防が戦局を大いに左右したのである。
軍事境界線を見たあとで、鉄原の旧市街地を見学したが、完全な廃墟になっていて人が住んでいなかった。朝鮮戦争で街がすっかりなくなっているのである。それは、戦争のむごさを物語っていた。
鉄原郡が戦略的に重要な場所、というのは今も変わらない。それゆえ、韓国陸軍の精鋭部隊が配置されている。
それが第3師団なのである。(ページ3に続く)