第2回 苦悩の日々から光明が見えた
ラブコメを卒業したい
チャン・グンソクはドラマ『キレイな男』(2013年制作)に主演したあとにこう語っている。
「『キレイな男』が最後のラブコメになるかもしれません。『美男〈イケメン〉ですね』以降に出演した作品は全部ラブコメでした。20代に一番似合う作品を選んだので、今度は違うものをやってみたいと思います。アクションでも、スリラー、ホラーでも。20代に一番似合うキャラから脱皮して新しいチャン・グンソクを見つけなければなりません。それは僕にとっての宿題だと思います。チャレンジしたいし、守備範囲を広げたいという欲があります。ラブコメのようにシンプルで軽い作品をたくさんやってきたので、今後は重みのある、これまでとは違うものにトライするのが、俳優としての野望です。長い目で見れば、俳優としての守備範囲を広げるのが課題だと思っています」
この言葉を見るかぎり、きたるべき30代を見据えて、チャン・グンソクは多様な演技ができる俳優への成長を模索していたことがわかる。
彼がラブコメで大ヒットを飛ばしていたことは事実だが、それだけではやがて行き詰まることを悟っていたのだ。
それ以前にも、チャン・グンソクが演技の幅を広げることにチャレンジした時期があった。2012年に制作された『ラブレイン』がそれである。
『冬のソナタ』で著名なユン・ソクホ監督がメガホンを取る作品。実績がある監督のもとでドラマの主演ができることは、チャン・グンソクにとってもこの上ない光栄なことであっただろう。(ページ2に続く)